こんにちは。なかやんです。
皆さんは「ギグエコノミー」という言葉をご存知でしょうか。
ギグエコノミーとは、昨今のクラウドソーシングやシェアリングエコノミー、オンデマンド経済などと同じ文脈で使われる「新しい働き方」のことを指します。
簡単に説明すると、インターネットを通じた単発の仕事を受発注することで成り立つ経済のことです。
僕は現在フルリモート(在宅勤務)で働いているのですが、このギグエコノミーもこういった新しい働き方を促進する存在としてとても期待を寄せています。
しかし、ギグエコノミーが発展しているアメリカでは、ギグエコノミーによる貧困などが問題になっているとのことです。
今回は、このギグエコノミーについて僕の所感を交えて説明していきます。
- ギグエコノミーって一体なんなの?
- ギグエコノミーの市場規模や課題は?
- ギグエコノミーは日本でも浸透する?
ギグエコノミーとは?
2018年は、「新しい働き方」元年だったと、僕は勝手に思っています。
僕は本屋によく行くのですが、昨年は副業関連の雑誌をめちゃくちゃ多く見かけ、またそういった情報サイトもめちゃくちゃに増えましたね。
これまでシェアリングエコノミーの話を聞いたこともなかったような人(例えば僕の母)でも、「Uber Eats」や「Airbnb」くらいは聞いたことがあったり、使ったりしたことがあるのではないでしょうか。
仕組みはよくわからないけど便利だから使っている、というのは「インターネット」の普及に似ているなぁと感じています。
ギグエコノミーもその一環として輸入されてきた言葉で、シェアリングエコノミーは「モノ・サービス」の消費なのに対し、ギグエコノミーは「ヒト」の消費という点が少し異なります。
ただし「Uber Eats」なんかは感覚的には「ヒト」の消費に近いので、ギグエコノミーであるという考え方の人もいるようです。
シェアリングエコノミーとギグエコノミーの垣根も徐々に融解しつつあるのではないかと思っています。
前置きが長くなりましたが、冒頭にも簡単に説明した通り、ギグエコノミーというのは、インターネットを通じて単発の仕事の受発注を行うことで成り立つ経済のことを指します。
企業に雇用されることなく、単発の仕事を受けながら生活の軸を作るという意味では広義のフリーランスに該当しますね。
ちなみに「ギグ(gig)」というのは、もともと音楽用語だったらしいです。
なお、本用語の「ギグ(gig)」とは、元々はジャズやロックなどで、それほど親しいわけではないミュージシャン同士が、音合わせを兼ねて、その場限りの演奏(単発ライブ)を試しにやってみることを意味し、それが転用されて「単発の仕事」という意味で広く使われるようになったそうです。
引用元:iFinance
日本でもランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングは発展しており、また新しいクラウドソーシングのサービスも2018年に勃興してきました。
僕も昨年実際これらのサービスを使って、副業ながらもそれなりの金額を稼ぐことが出来たので、日本でもこのギグエコノミーは成り立つのかなぁ、と思いました。
初心者が副業で始めたライター業で家賃を払えるようになったので、方法をお伝えします。
ギグエコノミーの市場規模は?
いったん広義の「フリーランス経済」のデータを引用します。
下記は、ランサーズが提供している「フリーランス実態調査(2018年版)」のデータです。
フリーランスの推計経済規模が初の20兆円を超え、日本の総給与支払額の10%を占めることになります。
また、広義のフリーランス個人の平均報酬は186万円となり、昨年比12%増加傾向となりました。引用:ランサーズ
兆円で表されているのが経済規模、万円で表されているのが個人の平均報酬額です。
日本の伸び率もすごいのですが、驚くべきはアメリカですよね。
周知されている通り、アメリカはフリーランス大国で、すでに市場は成熟されているのではないかと思われがちですが、この伸び率です。
アメリカに関しては、2017年から2018年までは好景気の恩恵で人材も採用しやすかったという背景もありますが、そもそも文化として「フリーランス」という働き方が根付いています。
また、フリーランスの労働人口の推移も見てみましょう。同じランサーズからの引用です。
2018年には日本の労働力人口の約17%がフリーランスになっているというデータです。
肌感として「そんなにおらんやろ」と思うのですが、データ上はこのようになっているらしいですね。
そしてアメリカは労働人口の3分の1以上がフリーランスです。
実は、僕は現在アメリカの企業に勤めているのですが、この数値を如実に実感しています。
アメリカでは、契約社員や業務委託という雇用体系で働いている人が非常に多く、それで数十年過ごしているという人も多いです。
日本では、派遣社員・契約社員のマイナスイメージがなぜか先行しますが、これもフリーランス経済の拡大によって徐々になくなっていくのでしょうか。
次にギグエコノミーの経済規模について確認してみましょう。なおここでは、ギグエコノミーを狭義のフリーランスとして扱います。
米国などが新興国からIT人材を調達するケースが増え、2025年には世界のギグエコノミーの市場規模が37兆円に成長するとの試算もある。
ギグエコノミーに限った話になるとさすがにフリーランス経済に負けますが、それでも企業はより単発の仕事に絞った発注を重視しているようです。
アメリカではフリーランスが普通の働き方になっている。
むしろ今後はフリーランス人口の方が多くのではないかというデータもある。
日本も一応増えており、今後も増えて行く見込み。
ギグエコノミーの課題
「新しい働き方」として注目されているギグエコノミーですが、課題も山積しています。
以下のようなものが考えられる、あるいはすでに顕在化している課題です。
労働者数の正確な数値が計測しにくい
ギグエコノミーはフリーランス経済の一部であると僕は考えているので、フリーランスの仕事の中で、さらに単発的な仕事がギグエコノミーに相当します。
よって、「これはギグエコノミー」、「これはギグエコノミーじゃない」という選別が難しいと思うのですよね。
正確な数値が計測しにくいと果たしてギグエコノミーが発展しているかもわかりにくいので、明確な基準を設けるべきだと感じます。
労働者数の爆発的増加による供給過多
現在アメリカのギグエコノミーを支えているのは、東南アジアをはじめとした新興国のエンジニアなどです。
これがネットワークインフラの整備によって、より経済圏が広くなると単純に労働者が増えることになります。
一方で比例して仕事が増えないと、供給過多により、一本あたりの仕事の単価が低くなります。
誤解を恐れずいうと、「誰でもできるような仕事」は単価がどんどん安くなるのでは無いでしょうか。
報酬単価低下による貧困問題
ここまで行くと社会問題も絡んでくるので、もはや僕ごときが何か言えるレベルでは無いのですが、前述の通り、労働人口の割に仕事が比例して増えないと報酬単価の低下につながります。
これはすでに具体的な問題になっていて、WIREDが取り上げていたので、リンクを掲載しておきます。
ギグ・エコノミー、「新たな貧困の種」を生み出しつつあるその実態:調査結果
日本でギグエコノミーは浸透する?
ネガティブな意見かもしれませんが、僕は日本においてこのギグエコノミーが浸透するのは時間がかかると思っています。
理由はいくつかあります。
正社員至上主義があまりに根強すぎる
フリーター、派遣社員、契約社員、日雇い労働者、この言葉に日本人はどのようなイメージを抱くでしょうか。
ポジティブなイメージを抱く人は少数派でしょう。
最近ではフリーランスという言葉も市民権を得ているので、多少理解は進んでいると思いますが、まだまだ「正社員」をステータスと考えている方はたくさんいます。
これはもはや文化なので、労働人口の世代が変わらない限り、この考えも変わらないと思います。
ギグエコノミーの経済圏を作るのは、正社員ではなく、期間限定でコミットするタスクフォース(助っ人)のような人材です。
日本ではまだあまり馴染みがないですし、あまり文化にフィットするとは思えません。
なので、日本においても向こう10年はギグエコノミーが浸透することもないと考えます。
ギグエコノミーの言葉尻だけを捉えて、使い捨てる企業が増える
日本人は新しいもの好きなので、言葉の意味をよく理解せず「うちはギグエコノミーだから」などと言って安く労働者を買い叩く会社が増えるのが目に見えます。
ただし、これは必ずしも悪いことではありません。
なぜなら、労働者側が安く買い叩かれないようにスキルアップすることこそが、ギグエコノミーの成長につながるからです。
そのスキルを企業が適正に評価できるのか、という点が本当の意味でギグエコノミーが浸透するかどうかの分水嶺になると考えます。
フリーランスの立場が弱い
フリーランスは自由と引き換えに立場が弱いというのが世間の印象ですが、確かにサラリーマンの方が会社からの手当てが充実している分、安定はしています。
むしろこれがなくなるとサラリーマンでいる意義がほぼなくなるので、当然とも言えるかもしれませんが、それでもフリーランスの法整備はまだまだ進んでいない印象です。
これではギグエコノミーが発展するのも難しいでしょう。
ランサーズなどは、フリーランスが仕事・生活を快適におくれるようなサービスを日々リリースしています。
僕は仕事上、毎日ランサーズを利用していますが、本当に新しいサービスがよくリリースされるので驚いています。
こういった業界のリーディングカンパニーが文化を醸成してくれるのを期待します。
肌感覚として、フリーランスという働き方は、まだそうでない人にはあまり認知されていない。
まとめ
僕は、世の中にフリーランス的な働き方がもっと広まればいいと思っているので、ギグエコノミーという言葉や概念が広まること自体には好意的です。
おそらく、世界的にはどんどん主流になっていく働き方でしょう。
ただし、日本の文化にそのまま受け入れられるかと問われると懐疑的です。
また、ギグエコノミーの経済圏で生き残っていくには、それなりのスキルが求められるのは自明です。
自らのスキルが社会から需要があるのかを確認するためには、副業を始めてみることをオススメします。
この仕事はできそうだな、というものがあれば、それはあなたが会社以外からも必要とされていることを意味します。
まずは副業を通して、自分のスキルを磨いてみてはいかがでしょう。