今回は、海外では主流の投資商品で、最近日本でも認知度が上がってきた「ソーシャルレンディング」について解説したいと思います。
先に結論を書くと、ソーシャルレンディングは下記のような人にオススメです。
- 債券投資を行なっているor考えている
- 不動産投資を行なっているor考えている
- 高いリスクは取りたくないが、それなりのリターンは欲しい
- 自分で調べてあれこれ売り買いするのは面倒(時間がない)
「ソーシャルレンディング」ってなに?
ソーシャルレンディングは「貸付型(融資型)クラウドファンディング」と言われ、広義のクラウドファンディングの一種です。
金銭を支援する代わりに、モノやサービスを受け取る権利が得られる、いわゆる皆さんがイメージされるようなクラウドファンディングを「購入型」と言います。
また、同じく金銭を支援する代わりに、未公開株を得られるのを「投資型」クラウドファンディングと言います。
では、貸付型(融資型)クラウドファンディングはどのようなものかというと、金銭を支援するリターンとして、「利回り」を得ることができるというものです。
すでに投資をしている方なら感じているかもしれませんが、投資というのは元手(元本)が大きければ大きいほどリターンも大きくなり、選択肢となる投資商品の幅も広がります。
つまり、ソーシャルレンディングは大きな資金で資産運用をしたいと思っている法人に金銭を預け、その利回りをリターンとして得るというものになります。
企業は銀行からお金を借りればいいのでは?
ソーシャルレンディングで融資を募る企業は、つまるところ銀行からの融資を受けることができない企業がほとんどです。
「銀行からお金も借りることができない業者に投資を行うのは不安」という思われる方もいるかもしれません。
「ご安心ください!」とは、言えませんが、企業が銀行から融資を受ける条件というのはかなり厳しく、また時間も相当かかります。
企業がソーシャルレンディングで融資を募る理由は「投資」です。
投資はスピード感もとても重要なので、銀行より手軽にかつスピーディに資金を集めることができるソーシャルレンディングをあえて選ぶ企業も多いです。
上場企業もファンド組成のためにソーシャルレンディングを用いており、必ずしも「銀行の与信が通らないから仕方なくソーシャルレンディングを使う」という訳ではないのです。
ソーシャルレンディングのメリット・特徴
ここからは他の金融商品と比較したソーシャルレンディングのメリット・特徴を記載していきます。
ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品
ソーシャルレンディングの最たるメリット・特徴は、ミドルリスク・ミドルリターンというちょうど良い塩梅に位置しているというところです。
ソーシャルレンディングで資金を募り、ファンドを組成した企業の多くは、不動産や太陽光発電に投資します。
実際に個人で不動産投資や太陽光発電投資を行うとなると、多額の元手が必要となり、また管理費・維持費もかかり、減価償却までに数十年近くかかります。
書類上の煩雑な手続きなど、金額以外のコストも馬鹿にはできません。
もちろん、個人で不動産投資や太陽光発電に投資するメリットは利回り以外にも存在しますが、そのリターンは投資初心者にとって見合ったリスクとは言えないでしょう。
一方、ソーシャルレンディングの場合はお金を融資するだけ、極論あとはほったらかしで任せておけばいいので、個人のリスクや時間を最低限に抑えることができます。
大きなリスクは取りたくないが、ほどほどのリターンを得たいという方には適した投資商品と言えます。
値動きを気にしなくて良い
株、投資信託、FXなどの値動きのある金融商品を保有していると、日々の値段が気になって仕方なくなります。
この拘束時間、意外と馬鹿になりません。
僕も株を動かしていた時は日中株価を見ながら、夜中に海外の相場も見守る、みたいなことをやっていたので、日々緊張していました。(それが株の醍醐味でもあるのですが)
特に投資初心者の方は、値段が気になって仕方なくなってしまうので、精神衛生上もよくありません。
ソーシャルレンディングは基本的には融資が決定すれば、あとはほったらかしで利払いを待ていればいいだけなので、これらの拘束はありません。
最低投資金額が低い
株式投資だと最低投資金額というものが銘柄ごとに異なり、銘柄によっては数十万円からしか投資できない、というものもあります。
前述した、不動産投資や太陽光発電投資もランニングコストが高く、気軽に始める、というわけにはいきません。
それこそ事業として成り立たせるくらいの気概がないと手を出しにくいと感じる方もいるでしょう。
ソーシャルレンディングは事業者にもよりますが、大手の「クラウドバンク」は10,000円から投資が可能です。
小回りが効きやすい、というのは投資家の選択肢としてはとても重要なのではないでしょうか。
運用期間が定められている
これ、意外と重要なメリットというか特徴だと思うんですよね。
株や投資信託を購入すると、購入したはいいが、一体いつが売り時なのかわからない、ということがまま起こります。
投資の出口戦略というのは長期投資を行う上で非常に大事なのですが、意外とここを疎かにしている投資家は多いです。
ですが、ソーシャルレンディングは運用期間というものが定められています。
案件にもよりますが、例えば12ヶ月も待っていれば勝手に償還されて、元本に配当金が付与されてかえってくるのです。
売り時を考えなくて良い、というのは投資初心者にとって大きなメリットとなりえます。
もっともリスク・リターンの関係が似ているのは(外国)債券か?
ソーシャルレンディングともっともリスク・リターンの関係性が近いのは、債券、特に外国債券ではないかと思います。
ソーシャルレンディングの利回りは事業者や案件によって変わりますが、大手の「Funds」では1.5%〜6%の予定利回り、「クラウドバンク」では6.99%の実績平均利回りとなっています。
利率6%となると、だいたいインドルピーの10年債やロシアルーブルの3年債と同じくらいの利回りでしょうか。
参考:エイチ・エス証券
ちなみに外国債券も発行体を仲介として挟むので、ここも少しソーシャルレンディングに似てるような気がします。
ともかく、外貨で先進国より不安定な国の債券を保有しなければならず、リスク・リターンは近いように見えますが、ソーシャルレンディングの方が安全性や視認性が高いと言えるでしょう。
国債と株式の中間くらいのリスクだと思っていただければ差し支えないです。
ソーシャルレンディングのデメリット・リスク
投資商品なので、ソーシャルレンディングにも当然デメリットが存在します。
よく確認しておきましょう。
デフォルト(貸し倒れ)リスク
借り手の財務状況が悪化し、借りた資金が返さなくなった場合、元本が毀損する恐れがあります。
このあたりのリスク、どの企業がデフォルトしたら元本が毀損されるのかなどは事業者のページに記載されているので、事前によく確認しましょう。
また、案件によっては担保・保証がされているものも存在するので、(かなり少ないですが…)不安であればそういった案件にのみ絞って投資をするのも良いでしょう。
基本途中解約ができない
融資という特性上、定められた期日まで投資金額が戻ってくることはありません。
少額から投資できるのがソーシャルレンディングのメリットではありますが、運用期間内は自由にお金の出し入れが出来なくなるということを頭に入れておきましょう。
「年」利回りということに注意
これは別にソーシャルレンディングに限った話ではないのですが、案件は「年」利回りで表されている、ということに注意しましょう。
例えば、以下のような案件があったとします。
- 目標年利回り…5%
- 運用期間…6ヶ月
- 投資金額…30万円
この場合、分配金額は7,500円になります。
運用期間が6ヶ月で1年に満たないので、年利5%の半分しかもらえない、ということですね。
各事業者のサイトでは、分配金のシミュレーションができるので、事前に確認しておきましょう。
国内の主要なソーシャルレンディング事業者
それでは、国内の主要なソーシャルレンディング事業者を紹介していきます。
クラウドバンク
「待つだけ、資産運用」のキャッチコピーが特徴的な日本クラウド証券が運営するクラウドバンクは、2013年12月のサービス開始以降、一度もデフォルトした案件が無い実績と高い利回りを持つソーシャルレンディング事業者です。
引用:クラウドバンク公式HP
直近の案件としては、太陽光発電、バイオマス発電、海外不動産などが多いです。
また、上場してはいないのですが、業績情報をHP上で開示しており、潤沢なキャッシュがあることがわかります。
ソーシャルレンディングは他の金融商品と同じように、事業所破綻のリスクがありますが、このように透明感のある会社は安心できるのでは無いでしょうか?
引用:クラウドバンク公式HP
これからソーシャルレンディングを始める、という方であれば実績も利回りも高い「クラウドバンク」が安定だと思います。
Funds(ファンズ)
Funds(ファンズ)は株式会社クラウドポートが2019年から始めた新進気鋭のソーシャルレンディングです。
新しいサービスではあるものの、案件の多くは上場企業と安心感があります。
また、1円単位で始められるというのもハードルがとても低く魅力的です。
借り手の説明事項も充実しており、何をしている会社に投資をするのかがわかりやすいです。
また、ソーシャルレンディングではありますが、出資者への特典などが用意されている案件もあり、一度に二度おトクな案件を探す楽しさもあります。
LENDEX(レンデックス)
LENDEX(レンデックス)は東急リバブルと業務提携を行い、主に不動産に特化した案件を取り扱うソーシャルレンディング事業者です。
一方で格闘技イベント「RIZIN」の運営資金を集める案件も取り扱うなど、ユニークな案件もあります。
特筆すべきは多くの案件に担保が設定されており、元本が保証される可能性が高い案件が多い、ということです。
また、短期間(3ヶ月)で12.0%の利回りの案件を取り扱うなど、効率的に資産運用をしたい方に適したソーシャルレンディング事業者とも言えるでしょう。
最低投資金額は2万円からに設定されているものが多い、という点はありますが、こちらもオススメの事業者です。
まとめ
ソーシャルレンディングはリスクを抑えながら定期預金の数十倍もの利回りを得ることが出来る、これまでの金融商品にはなかったポジショニングのサービスです。
少額から、ほったらかしでコツコツ運用できるというのは、地味かと思われるかもしれませんが、投資の世界ではとても重要なことです。