株の話

2018年の株式相場の振り返りと2019年の展望。日本株は完全に終わったのか?

こんにちは。なかやんです。

12月20日、日経平均株価は595円安となり、年初来安値を更新しました。

この日、96%の銘柄が値下がりし、年初来安値を更新した銘柄は1,000を超えます。

ちなみに一日で年初来安値を更新した銘柄が1,000以上出た日は、最近では、2016年2月の原油価格の下落による暴落と東日本大震災の二回です。

それほどまでに、今回の「売り」は強烈だったと言えます。

僕は今回の下落で多くの個人投資家が日本株に失望したと考えています。

今年は、日本株を信じ続けた投資家がことごとく裏切られ続けた年でした。そしてこの年の瀬に日経平均が年初来安値を更新。まさにトドメと言えるでしょう。

現場を体験している証券会社の方の声も悲痛です。

僕も証券営業を行っていたので、この気持ちはとてもよくわかります。

果たして今がセリングクライマックスなのでしょうか?はたまた日本株は「死んだ」のでしょうか?

今回は、僕の超絶私見に基づいた、2018年の株式相場の振り返り(少し早いですが)と2019年の展望を書きたいと思います。

※僕個人の意見なので、投資をする際は自己責任にてお願い致します。

2018年は空売りの年だった

特筆すべきは海外投資家(機関投資家)の空売りです。

2018年の海外投資家の売越額は約5.3兆円にのぼります。(12/20時点)

これは、かの有名なブラックマンデーの年である1987年の売越額約7.1兆円に次ぐ、31年ぶりの高水準です。

参考:日本経済新聞より

つまり、莫大な資金力を持つ機関投資家・ヘッジファンドが売りに売りまくったのが2018年です。

海外投資家は、日本市場の商いのシェアの70%を占めています。これではいかに個人投資家が買いに向かっても到底勝てるわけがありません。

日本株が売られる理由は様々なものが考えられますが、アベノミクス以降目立った経済政策を発表していないのが主たる原因とされています。

ですが、それだけでは理由がつかないくらいの値下がりだと僕は感じています。

なぜなら、業績が良いはずの銘柄も大きく値下げしているからです。

例えば、東京エレクトロン(8035)の業績と株価を見てみましょう。

2019年の予想は過去最高益(二期連続)です。一方、ここ一年の株価はこちら。

引用:yahooファイナンス

過去最高益なのにもかかわらず、12月20日に年初来安値を更新しました。

もちろん、株価は業績だけではなく、需給やその他の指標も見るべきですが、「これで上がらなければ、どの株が上がるのか」状態です。

もう一つ今年の値下がりの不自然さを象徴する例があります。

12月に行われたFOMCでは、パウエル議長により、利上げの追加が発表されました。

本来であれば、米国の利上げはドル高・円安を推し進めるので、日本株にとってはプラスになる要因と捉えられます。

ですが、今回はそれが原因で値下がりしたとされています。もはや一般論的な考え方では、相場は好転しなくなってきています。(利上げの継続は織り込み済みとの見方もあります)

極端な話をすると、ヘッジファンドが「今年は空売りの年だ」と決めて、売りまくっているのだろうと非現実的な理由を考えざるを得ないのが、2018年です。

2018年は機関投資家による「空売り」の年だった。

この状況でGPIFはどのように資産運用をしている?

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、みなさんの年金の運用を行っている機関です。

みなさんの年金約160兆円を運用しているわけですから、ハイリスクな投資を行なって失敗するわけにはいきません。堅実な投資を行う機関です。

よってGPIFのポートフォリオは、ディフェンシブ運用を行う上で、一つの指標になります。

ここで、GPIFが公表している、平成30年9月末時点でのポートフォリオを確認してみましょう。

引用:GPIF 最新の運用状況

なお、GPIFの基本ポートフォリオは、国内債券35%(±10%)、国内株式25%(±9%)、外国債券15%(±4%)、外国株式25%(±8%)です。

直近では外国株式の比率が最も多い(微量ですが)というのは面白いですね。乱暴な言い方をすると日本の年金は、約4割が海外資産で運用されているということです。

GPIFのポートフォリオは、個人投資家も参考にすべきところがあるので、もし日本株しかもっていないという方は、海外資産もポートフォリオに加えるべきと言えます。

日本最大級の投資機関も、海外資産でポートフォリオを構成している。

2019年の展望

目先は日経平均2万円前後の攻防が続く可能性が高いですが、仮に2018年中に2万円を下回ってくると、投資家心理は相当冷え込んでくると予想されます。

現在は日銀のETF買い支えでなんとか2万円が保たれている状況です。これを上回る売り(空売り)が出てくると、個人投資家の間にも不安が生じ、さらなる売りにつながる可能性が出てきます。

2019年も引き続き、売り方優勢になると僕は予想しています。現在日本株を購入しているのは、実質的に日本人のみだからです。

ですが、投資妙味が全くないかと言われると、そうではないと思います。

もし現時点で株を購入するのであれば、業績は最高益なのに株価が下がっている、高配当銘柄でしょうね。

特に前述の東京エレクトロンなどは、株価の値下がりにより配当利回りが高くなっており、12月21日の時点で年5.76%の高配当です。

来年1年間ではなく、今後2〜5年のスパンで資産を形成したいということであれば、日本株はまだまだおすすめできます。

ただし、底値を見極めることも難しくなっている相場なので、「下がったから買いだな」という短絡的な思考では、短期的には損をする可能性もあります。

仮に日本株を購入するのであれば、長期投資の心構えで、高利回り・安定成長の銘柄を選びましょう。

まとめ

以上、2018年の振り返りと2019年の展望でした。

2019年も引き続き、機関投資家の売りにさらされる展開が予想されますが、目先の利益に惑わされず、長期的な目線、具体的には2〜3年で利益が取れそうな銘柄に投資しましょう。

また、トレンド自体が「売り」なので、「買い」だけではなく、「売り」のポジションも取れるように信用取引の口座「だけ」でも開設しておくことをおすすめします。

さらに、このような暴落のリスクを軽減させるためには、分散投資が最も効果的です。

GPIFのポートフォリオを参考にしながら、海外資産もポートフォリオ内に組み込むことをおすすめします。

別に個別の米国株を購入する必要はありません。海外資産を含んでいる投資信託や米国の指標をベンチマークしているETFを購入すると良いでしょう。

円建てでもいいとは思いますが、通貨の分散も重要なので、できればドル建てで購入したいところです。

もう一度言いますが、重要なのは目先の利益に惑わされないことです。

相場が暴落した時こそ冷静になり、今どのようなポジションを取ることが最善なのかを考えることが投資の面白いところです。